ナレーターメルマガ

極細木スガ子の
きっぱり言うわよ!

 

 [ 第1部 新人編 ]  第8夜

最後の壁

-後編-

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 (2006年11月30日ナレーターメルマガ33号より)

夜の闇は極まり、すでに東の空は白みはじめている。

そう、私のインタビューも、夜明けという名の確信に近づいているのだ…!
 

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新人の壁


「はふ~ん。全部吐いたらスッキリした…」

今宵の極細木は、珍しく酔っていたのだった。
 
「せんせい。今夜の質問はこれで最後にします。ですから『新人がこえなければならない〈3つの壁〉』の最後の壁をどうか教えてください」

極細木は水を一気に飲んだあと、澄んだ瞳で私に答えた。
 
「ナレーターは、どうやってマネージャーに自分を売り込むの?」

「ボイスサンプルを渡して、聴いてもらいます」

「正解。じゃあもう一歩踏み込むわね。ナレーターに売り込まれたマネージャーは、どうやって制作会社やテレビ局に新人プレイヤーを売り込むと思う?プレイヤーから渡されたボイスサンプルを、そのまま制作会社やテレビ局に渡すの」

「はい……そう、でしょうね…(?)」
 
「私が言ってる意味は、頭ではわかっていても、腑に落ちていないと思うワ。この事は山ちゃんが思ってるより重要なのヨ。だって、【プレイヤーがつくったボイスサンプルは、そのまま制作会社に渡る】のよ」
 
「え???なにか問題がありますか…???」

「じゃあ、仕事をしたことのない新人プレイヤーがつくるボイスサンプルに、仕事をとれるほどのきちんとしたクオリティがあるのかしら?」
 


 

ボイスサンプルに仕事をとるリアリティを


極細木の言葉に、私は愕然とした。

マネージャーからボイスサンプルが渡される現場は、教育の場ではない。常に「すでに仕事で通用する力」をもった人だけを探している場だ。
 
仕事をしたこともない私に、きちんと聴き手をイメージすることなどできていたのか。
 
「新人っていうのは、なかなかマネージャーと話す機会がつくれないから【ボイスサンプルに仕事をとるリアリティを持たせる】ことすら出来ないのヨ」

「ボイスサンプルに…仕事をとるリアリティ…」

「たとえば…私にボイスサンプルをいつも持ってきてくれる子がいたの。私は…前も言ったけど、そういうプレイヤーの姿に心打たれるのヨね…。そしてなんとかチャンスを見つける。でもここで、制作サイドに聴かせるボイスサンプルが……聴かせるに値しないようなクオリティなことが、本当に多いのヨ。もったいないわヨね…」

「せっかくのチャンスを生かすのも殺すのもボイスサンプル次第なんですね…」