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ボイス・サーガ

 この物語は声優からナレーターを目指す迷走の物語である。おおむね事実。
 第28話

第29話 飛べ飛べパラグライダー!!

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第29話 「飛べ飛べパラグライダー!!」

 

CM収録で有頂天の逗子丸(ずしまる)だった。快進撃は続くのか。。。

 

 

 

新番組のレギュラー獲得!

『パラグライダー』それは斜面を駆け下り風を受けて滑空する。
上昇気流をつかみより高く飛ぶのだ。逗子丸が打ち上げた豪快な1発は次の高みへと繋がった。
 
逗子丸「声優で転げ落ちてたんじゃないもんね。風を受けるために駆け下りてただけだもんね」
その上昇気流は、地上波OAの新番組でレギュラー。
アイドルバラエティ『アイドルをどないに売るかサミット!』だった。
 
逗子丸「あ、ウーロン茶は喉の脂分取っちゃうから、今度からお水にしてね」
収録時にスタッフが用意してくれる飲み物。
始めの頃はいちいち感動していたが、今ではさらりと要望を出せるくらい余裕が出てきた。時には現場にお菓子を差し入れるのもナレーターのたしなみ。
AP「逗子丸さんのお菓子はいつも美味し~」
AD「逗子丸さんグルメなんすね~」
D「もう番組のミニコーナー作って“今週の逗子丸おみや”やりましょう!」
逗子丸「いやいやいや、そんなことないよ~(ニマニマ)」
 
注:AP(アシスタントプロデューサー 主にスケジュール管理など制作の諸々を引き受ける)
AD(アシスタントディレクター 主に現場の諸々を一手に引き受ける)
D(ディレクター 番組の撮影編集収録の責任者)
P(プロデューサー お金を握ってるので一番偉いとされている人)
 
わかりやすくチヤホヤされていた。みんな気持ちよく仕事をしてもらおうとしているだけなのだが… 
逗子丸「次回は!あなたが私にノックオン?!ピピーッ!スクラーム!一体どーなるぅ~?!」
D「はい、頂きました!今日も最高です!お疲れ様でした」
逗子丸「ありがとーござぁいまーすッ」
長音が混じったノリノリの挨拶が板についてきた。
P「お疲れさま~。そういえば今度、番組MCのぶどうちゃんのライブがあるんだけど、興味ある?」
逗子丸「え?行けるんですか?」
P「番組宛に座席を用意してくれるみたいでさー、ナレーターの逗子丸くんも是非、と」
逗子丸「ほぉーんとですかぁー?行きまーす行きますー!」
P「ぶどうちゃんとは会ったことなかったよね?楽屋で挨拶できるように言っとくからさ」
逗子丸「ありがとぅーござぁぃまーすッ!!」 
かつての売れない声優アイドルをただ見るだけのお仕事(第9話)ではない。
これだ、これが芸能界だ!ムッファーーー!!!!)これまた分かりやすく、調子に乗って天空のスキップは続いていた。それまでガヤモブに一喜一憂する「自称・声優」だったとは誰も思わないだろう。一瞬でこうまで変わる、それがTHE芸能。


再び、一本の電話

 
『芸能とは、パラグライダーである』それは事実。
『ナレーションも片隅だが芸能である』それも事実。
風に乗って滑空し。上昇気流をつかみながら、どんどんと高度を上げる。しかし次から次と上昇気流をつかめないと、重力に従って緩やかに降りて着地する。それが物理の法則なのだ。 
ナレーター界のゴッドマザー。猪鹿蝶の極細木(ごくぼそき)スガ子社長から電話があった。
極細木「あー逗子丸くん、“アイドルサミット”今月で終わることになったから。2クールお疲れさん」
逗子丸「でも、番組はまだ続くって話、スタッフがしてましたけど。。。」
極細木「あー、それネ。横須賀がやることになったんだよねー」
(な、な、なにー!!ラムチョップの後輩、横須賀優男(よこすかやさお)がここにも!事務所を辞めたとは聞いていたが、猪鹿蝶に来ていたとは!しかも、しかも、ぐにゅぐーー)
極細木「視聴率的に苦戦してるから、番組のテイストを変えるってことなんだけどネ。。」(テレビ番組では視聴率が振るわないと、ナレーターを替えてテコ入れするとは聞いていた。それが自分に来るとは思ってもいなかった)
極細木「まだチャンスはあるんだから、ボイスサンプル作ってアピールしてね。聞くからね」(オレのオレの番組ーーひでぶー!!)パラグライダーは急降下していった。