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弾き語りのマーケッター

第4話

柱の影おじさん

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嫌がらせかと思いきや

(2011年6月2日ナレーターメルマガ162号より)
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マツコとの衝撃的な出来事があって少ししたころ。僕はいつものようにある駅で弾き語りをしていました。
 
自分で好きなフォークソングだけを歌っていると、時々おつりのジャラ銭が降ってきます。集中するとうつむくので「降る」という感じがよく当てはまるのです。
 
そんな中突然。
 
ギターケースに、小銭以外のものが「ごんっ」と放り込まれたので、僕びっくり。
 
みればぐちゃぐちゃにくるまれたティッシュでした。
 
路上には、そうやって嫌がらせにゴミを投げてくる人も時々います。
 
「ああ〜いつもの嫌がらせか、面倒だなぁ」なんて思ってたんですが…
 
よく見れば、中からチラリとお金がみえたのでした!重みをつけるための500円玉と、なんと1万円札!
 
ティッシュを広げると、その内側にきったない字。
 
『良い声してる。十八番を聴かせて』と書いてました。
 


 

柱の影おじさん

 
びっくりして顔をあげると50前後のサラリーマン。
 
いつも僕が相手にしている「千鳥足おじさん」よりは、小綺麗で、足取りも確かな「ナイスおじさん」。

そのおじさんは僕と目があうと、ささっと15メートルほど遠ざかってアーケードの「柱の影に立って」あさっての方向を見ながら煙草を吸い出すのでした。

絵に書いたような「知らんぷり感」です。
 
いったいなんなんでしょう^^;
 
実はそのナイスおじさんは「柱の影」に1時間以上前から立っていた人だったのです。ずっと誰か待ってるのかと思ってたのですが…

どうも『僕の邪魔をしないようにしてくれてた』とわかりました。
 
僕はレパートリーの中でも一番綺麗な声で歌える歌を歌いました。

締めを弾くと、おじさんは柱の影からこっちをのぞいたかと思うと、ちっさくガッツポーズをして、やはり何も言わずどこかへ歩いていきました。
 


 
満足してくれた感じがして嬉しい。嬉しい・・・けども。

僕またしてもポカーン。
 
マツコも柱の影おじさんも、「先にお金がでていた」ってところが気になりました。
 
果たしてマツコやおじさんは何を買ったんだろう…?

それからは弾き語りにいくたびに「これじゃないか」「あれじゃないか」と実験が始まりました。
 
そして『自分の好きにした結果200円しか収穫できない』が、すこしづつ進化していったのです。
 
それは面白いことに、それまで漠然と実行していた「路上のルール」を否定していくことにつながっていきました。