ナレーターメルマガ

弾き語りのマーケッター

第6話

ギターケースはお客に背を向けて

前編

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 それはどんなメッセージか

(2013年3月14日ナレーターメルマガ218号より)

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僕には路上を教えてくれたお師匠がいます。彼はいい歌を歌うんですけど、稼ぎにはつながってなかった。

彼は駅につくとまずはギターケースをひらき、その中に小銭をばら撒きます。
 
『見せ金しとくんだよ。こうすると、通行人がお金を入れなきゃいけないってわかるでしょ』とお教えてくれました。
 
かっこいいし、僕もずっと教わったことを実行してたのですが…
 

 
今思うに、師匠は見せ金をしたために「値段の上限を自分で決めてしまっていた」のではないでしょうか。
 
それは見せ金をすればするほど、入ってくるお金が、500円玉にから100円玉に、100円玉から10円玉にと、下がってばかりのおそろしい蟻地獄。
 
お師匠の本当のミスは「メッセージを甘くみてた」のかもしれません。
 
「見せ金→お金入れてと理解してくれる」つもりだったと思います。
 
でもお客さん目線になってみると、あたかも師匠が「あんたが歌に出すのは100円とかそんなもんでしょ?」と言ってるようにも、見えなくないのです。
 
それが原因で、お師匠のまわりには『歌なんてこんなもん』というお客さんだけしか集まらなかったのではないかなぁ?
 


 

ギターケースはお客に背を向けて

 
一方の僕はというと。
 
ある晩歌っていたら、空のギターケースに千円札が入りました。
 
僕は「風で飛んでっちゃいけない」と命にかけてお金をポッケにしまいます^^;
 
すると…再び紙幣。
 
またしまうと、次も千円札が!
  
小銭の見せ金をしてた時は、お釣りしか入れてもらえなかったのに。びっくりです。
 
翌日からは、ギターケースを「お客に背を向けて」開いていました。
 
すると通行人は「ちょっとキミ〜ケース反対向きじゃ、どこにお金入れればいいかわかんないじゃん〜」とギターケースを回り込んで、むりやり紙幣を入れていくじゃありませんか。僕の胸ポケットに1万円札をねじこむことも。
 
これは不思議な現象でした。
 
ゼロというメッセージは、プラスもないかわりに「不必要なメッセージも招かない」ということだと思います。
 


 

興味は押すものではなく引くもの

 
同時期、ライバルのミュージシャンたちは「真剣にデビュー目指してます!」と看板をだし、帽子で投げ銭を回収にいっていました。
 
でも歩き回ったと同時に、せっかく集めた人垣が、霧散してしまうのでした。
 
残ってくれるお客さんがいても、「説教釣り銭」か「がんばってね釣り銭」。
 
押せば押すほど逃げられる感じです。
 


 
一方の僕。つまり「紙幣がもらえるケース」ですね。それはそういうむしろ歌に集中してるあまり、ふてぶてしい表情してる時が多かったです。決してちょうだいちょうだいしない。
 
歌ってる最中は、ちょこっと頭をさげるくらいしかできないんですよ。うーん人として問題ありますね^^;
 
でもお客さんは、機嫌よく帰っていってくれました。
 
この経験は後年『興味は押すものじゃなく”ひく”ものである』と教わり、なるほどと思いました。
 
「わざわざ道で歌って置いてお金いらないないってどういうこと?」と興味をひいたあと、さらに『硬派な夢追い人』と誤解してもらえたようでした。
 
そんなこんなで、ギターケースの向きを変えたことをきっかけに、単価が上がっていったようにも思います。
 
「強い動機をもったお客さんが集まってきてくれた」のかもしれませんね。

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