でも秋を前に彼女は去っていった・・・
何度かけても電話に出てくれない・・・傷心の秋・・・

9月初旬
9月初旬のある日、『ニュースzero最終オーディション』の緊迫した現場。
水を打った静けさの室内に着信音が鳴り響く。
携帯を掴んで急いでスタジオの外で電話に出る。
『もしもし、小窓王さん・・・実はお願いしていた、番組が急きょ終了する事になりまして・・・』
電話は某制作会社のプロデューサーからだった。
去年始まる時は「長いレギュラーになりますよ」って言ったはずなのに(泣)そう、それも恋と同じかもしれない。
夏の終わりから秋にかけては、番組の改編期。
それは、古い番組が終わり、新しい番組が決まるまでの真空の時期。
プレーヤーにとっても、マネージャーにとっても、ほんとうに胸が締め付けられる季節なのだ。
9月中旬
知人から女の子を紹介され、食事をすることになった。
これもタイミングなのか・・・ 寂しくなっていた心に、風が吹く。暖かいのか冷たいのか・・・
同時期、某放送局から新番組の依頼が舞い込んできた。
新番組の話に小躍りする。
が話を聞いてみると「ナレーション量が多いのに、ギャラが叩かれるようだ」‥‥うーんむ……
あれから、また数本レギュラー番組が終わっている・・・
なのに、新番組はまだ何も決まっていない。
電話を切ってしばらく1人で考えこむ・・・
一期一会と言う言葉があるぐらいなんだか
雑念が頭をよぎって行く。
スケジュールが空いてるよりは、安くてもいいから入っていた方が・・・
だってこの番組は安いかもしれないけど、やっぱり声を掛けてくれる出会いを大切にしたいし。
それにここで出会ったスタッフが、今度は別の番組で呼んでくれるかもしれないし。
そう、「先行投資と考えれば」やらないよりやった方が良いに決まってるし。そ
れにことわざにも一期一会と言う言葉があるぐらいなんだから。
そう独り言を呟きながら、自分を納得させて出した結論だった。
そして、大窓王に新番組の経緯を手短に伝える。
『う~ん。いつまでたっても、昔の癖がぬけないなぁ』
な、なんですと?!
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