ナレーターメルマガ

マネージャー小窓王の

改編の狼

vol.8

狐のしっぽ

-前編-

TOPページ | 改編期の狼 | vol.8 | 狐のしっぽ_前編

| 1 | 2 |
(2006年12月14日ナレーターメルマガ35号より)

『う~ん、何か臭うな』大窓王の発した一言に、私は耳を疑った。
 
臭うって一体何が?
 
?大手衛星制作からプロデューサーの熱意を聞いて感動しながら帰ってきた私にとっては大窓王の言葉は疑問だった。
ナレーターメルマガ,改編期の狼,マネージャー,キャスティング,オーディション,ナレーション事務所,ボイスサンプル

 
【プレーヤーやスタッフの待遇を向上させていくことが、プロデューサーの務めだと思っています】担当プロデューサーの熱い言葉を思い返すと、大窓王の一言が無性に腹立たしかった。
 

 
 

きれいごとでごまかそうとしている気がするんだ

 
「大窓王。何か臭うって、どういう事ですか?」
 
『それよりも、その担当者、見た目は、年齢は、話し方は?』

大窓王の矢継ぎ早の質問が続いた。
 
けど私は大窓王の言葉を遮るように、言葉を強めた。

「いいですか大窓王、さっきも話した通り担当者はいい人です!そんなに心配すること無い思います」
 
大窓王はピシャリと机を叩いて、鋭い眼光でこちらを見つめた。

『いいか、おかしな話の流れなのに、きれいごとでごまかそうとしている気がするんだ。こいつはとんだ”狐”で偽善者のにおいがするな・・・でギャラはどうなった?』

私は大窓王が些細なことにこだわって、神経質になりすぎじゃないかと首をかしげた。
 
「なんだかここ数年、制作費も上がってないそうですし、担当者はギリギリの中でプレーヤーやスタッフに少しでも払えるお金を作り出そうと頑張ってると思います。でもやはり最低保証金額でしか払えないみたいです。千円上がるかどうかも分からないと。ただ多く払える月は、多く払うと言うし、いままでどおり協力しようと思います」

大窓王は眉間にしわを寄せて考え込んでいた。
 


 

やはり狐だったよ

 
私は考えこむ大窓王に気付かないふりをしていたが、大窓王は続ける。
 
『やっぱり、ますますおかしいよ。大手衛星制作ほどの会社が千円上げるのも難しいとは考えられない。まあいい、それより担当者の印象はどう感じた?』

「ええ、さっきも話しましたけど、プレーヤーの事も、スタッフのことも良く考えて貰ってると思いますよ。きっとプレーヤーに聞いてみても同じ意見だと思いますよ」

大窓王の鋭い視線が、一瞬さらに鋭さを増した。

『プレーヤーには、まだ確認していないんだな?』

「ええ、でもきっと同じ意見だと思いますよ」

大窓王は軽くため息を付くと、携帯で電話をし始めた。そしてコンピュータで資料を打ち出していた。
 
この時、大窓王が何を考えているのかまったく考えようともしなかった。
 
『小窓王、この担当者はやはり狐だったよ。いいかこれをよく見てみろ。担当者が話していた矛盾点がよくわかるはずだ』